時代背景と国家的勢力について

　スタートレックは大まかに言って２２世紀から２４世紀ぐらいの時代を 舞台にしています。ちなみに、 ぶんか社の「スタートレック　ネクストジェネレーション　オフィシャル ガイドブック」には、 １９５７年〜２３７２年までの年表がありました。

ＴＮＧは２４世紀のお話です。これは、ＴＶ放送のオープニングで 「．．．宇宙戦艦エンタープライズ号が、新世代のクルーのもとに、 ２４世紀において任務を続行し．．．」 というくだりがあるので確認できるでしょう。

ＴＮＧに登場する「ＵＳＳエンタープライズ−Ｄ　 船籍番号：ＮＣＣ−１７０１−Ｄ」 が就航するのは２３６３年です。

　（ＴＮＧやＴＯＳなどの）シリーズによって登場する国々が多少異なりますが、 スタートレックの世界には主に６〜８の国や勢力があります。 とりあえずＴＮＧに出てくる国々の内の５つを解説します。

惑星連邦

　惑星連邦は地球に本部を置き、数多くの加盟国を持つ国家共同体です。 自由と平和をその行動理念とし、その思想は多くの民族・国家に受け入れられて きました。 惑星連邦は加盟国の内政に干渉してはならない、という方針を持っています。 しかし、一部の国家はその思想を受け入れようとせず敵対しています。 ＴＮＧの時代ではお互いを尊敬する関係となっているクリンゴン帝国も、 かつては敵対国家の一つでした。

　惑星連邦は連邦の成立と同時に宇宙艦隊を創設しました。宇宙艦隊は 地球のサンフランシスコに本部を置き、スタートレックの主な舞台となる 「エンタープライズ号」などを所有しています。 エンタープライズ号の任務は深宇宙の探査、各国家間での外交、 各国家使節や要人の送迎、貨物の輸送などで、 変わったところでは艦をオークションの会場に使ったり、 天体の観測を行うなどというのもありました。 要するに宇宙艦隊司令部からの命令があれば何でもこなします。

　宇宙艦隊は有能な人材を育成するため、「宇宙艦隊アカデミー」、 通称アカデミーを有しています。 宇宙艦隊本部と同じく地球のサンフランシスコにあり、 ここでは宇宙艦隊の士官になるための教育をおよそ４年間にわたって行っています。

　惑星連邦は多くの加盟国を持っていますが、 ロミュラン帝国などの敵対する国家とは条約を結び、 国境となる「中立宙域」を設定しています。 この中立宙域に進入した場合は敵対行為と見なされます。 ロミュラン帝国が中立宙域を侵犯して何度かトラブルとなったり、 全面戦争が勃発しかけたこともあります。

クリンゴン帝国

　クリンゴン帝国は惑星クロノスを主星とする国家です。 クリンゴン人は非常に好戦的な民族で、 惑星連邦と敵対していたＴＯＳの時代はかなり恐ろしい敵だったようです。 また、好戦的ではありますが、儀礼的なことを重んじたり、 精神的な成長を重視したりするなど、武士道や騎士道精神を持った民族です。 完全主義的な性質で、徹底的で完璧を求めるところもあります。 エンタープライズに勤務している ウォーフ中尉も、このような精神の持ち主です。

　クリンゴン帝国は初め連邦と敵対していましたが、 惑星クロノスの月である惑星プラクシスが、 資源の過剰採掘により大爆発を起こした時に 惑星連邦と和解しました。 このとき惑星連邦内部では、これを機にクリンゴン帝国と和解すべきか、 それとも敵対国であるクリンゴン帝国を この機に乗じて叩きつぶすかで意見が分かれました。 この混乱は惑星連邦の大使スポックにより和解の方向へと導かれ、 惑星連邦とクリンゴン帝国は同盟条約を締結しました （このエピソードは映画「スタートレック６　未知の世界」に収録されています）。

クリンゴンの味覚は地球人とは大変異なっているようで、 濃い味付けの料理を好みます。 彼らクリンゴンにとって、地球人の基準で調味した料理は 「味がないのも同然」だそうです。

余談ですが、私はクリンゴン帝国は惑星連邦の加盟国の一つだと 誤解していました。本当は同盟国だったとわかった今でも、 何となく腑に落ちません。なぜなら、ウォーフ中尉がいくら同盟国といえども、 他国の宇宙戦艦に乗艦しているためです。宇宙艦隊は主に深宇宙の探査や外交が 主任務といっても、多くの軍事機密を持っていると思います。 それなのになぜ乗艦できるのか、不思議でなりません。まあ、 それだけ友好関係が深く、お互い信頼している、ということかもしれません。

ということを書いたら、「ウォーフはクリンゴン人だけど、養子として地球人に 育てられたんだからあんまり不思議じゃないのでは？」というメールを頂きました。 そういえばウォーフは養子だったんですね。忘れてました。 おかげさまで不思議じゃなくなりました。

ロミュラン帝国

　ロミュラン帝国の主星はロミュラスとレミュスと呼ばれる双子の星です。 とにかく軍事を最優先する国家で、 惑星連邦との中立宙域を何度か侵犯して偵察に来たりしています。 また、かつて惑星連邦とクリンゴン帝国が敵対していた頃は、 クリンゴン帝国と科学技術の情報交換を行っていたりしました。 今では、とある事情からクリンゴン帝国とロミュラン帝国は 最悪の関係に陥っています。

　ロミュラン帝国の科学技術は非常に優れていて、「ウォーバード」と呼ばれる 戦艦は、（惑星連邦最大の戦艦である）エンタープライズ−Ｄの２倍の大きさと 高性能のワープエンジンを持ち、強力な主砲を搭載しています。さらに、 「遮蔽装置」と呼ばれる機器によって船体を透明化する事が可能です。 この「ウォーバード」は非常に強力な戦艦なのです。

　今、ロミュラン帝国は、 惑星連邦ともっとも緊張関係にある国家といえるでしょう。

フェレンギ同盟

　フェレンギ同盟の主星は不明です。
フェレンギ人は何よりも利益を得ることを優先します。 つまり、とにかく金にうるさい民族で、目的達成にのためには手段を選びません。 また、女性を差別するという文化を持ち、女性は商品として男性に売買されます。 フェレンギは男性中心・女性蔑視・利益最優先という特徴を持っていて、 これは日本やＮＩＥＳをモデルとしているそうです。 私たち日本人にしてみれば心外ですが。

　フェレンギ人は子供の頃から「獲得の法則（金儲けの秘訣）」 と呼ばれる法則を覚えさせられ、これを行動の基準としています。 わかっている分だけ法則を載せておきます。 フェレンギ人を理解する手助けとなるでしょう。

獲得の法則(金儲けの秘訣）

その１	人からもらった金は返すべからず
その６	邪魔する奴は家族でも許すべからず
その７	常に聞き耳をたてるべし
その１８	約束は約束だ
その２１	利益に友情は差し挟むべからず
その２２	賢い男は風が吹いても利益を得る
その３３	平和はビジネスに有益である
その３４	戦争はビジネスに有益である
その５９	ただの忠告がただで済むことはめったにない

私はこの法則の「その３３」と「その３４」にフェレンギらしさを感じます。 つまり、どんなときも金儲けのチャンスがある、ということですから。

ボーグ

　ボーグの主星は不明ですが、本拠地はデルタ象限にあると考えられています。 ボーグは人間と機械が融合した生命体で、個人の意志を持たず、全体の意識の集合に 基づき行動します。 この行動様式は、判断を誤る確率が格段に低くなる優れた物であると、 カウンセラーのディアナ・トロイが述べています。

　ボーグの科学技術は、惑星連邦を遥かに凌いでいます。 何しろボーグの艦船は超巨大なのです。 惑星連邦で最大級の船であるエンタープライズＤが小さく見えるほどです。 ボーグにとっては、人類など敵ではありません。
ボーグ艦が初めてエンタープライズ−Ｄと対峙した時 （ＴＮＧ第２シーズン・４２話「無限の大宇宙」）はボーグの方が 圧倒的に優勢でした。
また、その後ボーグが惑星連邦の領域まで侵攻してきた折 （ＴＮＧ第３シーズン・第４シーズン・７４・７５話 「浮遊機械都市ボーグ　前・後編」）には、惑星連邦の艦船３９機が撃破されました。

　バーラウンジを経営している ガイナンの種族エル・オーリア人は ボーグに滅ぼされました。 ガイナンの話では、ボーグは様々な種族を絶滅に追いやったそうです。

ボーグに狙われたら、それは種族が絶滅する可能性があるということになります。 ボーグはそれほど恐ろしい存在です。

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